磯焼けの海を海藻の森林へ
藻場通信も今回でvol.6になり、コンブを育て始めてからおよそ半年が経ちました。初めは目に見えない程小さかったコンブたちも画面から溢れんばかりに大きく成長しています。
コンブにもたくさん種類がありますが、私たちが今育てているのはマコンブという種類で、主に函館周辺海域に分布します。マコンブは二年藻で、二年目の成長ではじめて一人前になると言われています。
開始当初は億単位でコンクリート板に住んでいたコンブの子供たちも、今では数百本にまで減少してしまいました。しかし、食べられたり、飛ばされたりと厳しい環境の中で立派に育ったコンブたちは、1mを優に超えるサイズまで成長しました。
写真1 12/14開始時 | 写真2 5/23現在 |
私たちは日々映像を見てコンブの成長を見守るとともに、近年減少傾向にある天然のコンブ藻場を復活させるためのヒントを探しています。
そんな中、毎日カメラを見ていると思いがけない出会いもあります。北海道の海の中の世界もこの時期になると水温が上昇して活気づいてきます。ある日カメラを見ていると小魚の群れに遭遇しました。大きなコンブは小魚が身を隠すには絶好の場所となるようです。また、別の魚も周囲を元気に泳ぎ回っていました。コンブは私たち人間には食材として非常に人気ですが、様々な生き物からも人気で、餌場や住処として欠かせない重要な存在です。
写真3 蝟集する稚魚の群れ | 写真4 カメラ前に現れたウミタナゴ |
私たちが育てているコンブはまもなく一年目の最繁茂期を迎えます。人間で例えるなら青春真っただ中といったところでしょうか。まだ小さかったころから成長を見守ってきたコンブが、海の生き物たちの人気者になっている姿を見ると、感慨深いものがあります。様々な環境の変化がある中で、今後彼らにどのような変化が起こるのかとても楽しみです。無事に青春を乗り越え、豊かな海を育んでいってもらえるように、陰でサポートしながら今後も見守っていきたいと思います。
次回は、7月25日に公開予定です。