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藻場通信

磯焼けの海を海藻の

藻場通信 vol.39 北海道の藻場

自然環境部 海域担当チーム
工藤 俊樹

 ライブカメラ前の試験施設では、2月に目視確認できなかったコンブの生長した姿が確認されるようになってきました。コンブが大きく太く生長するのはこれからの季節になりますので、今後の様子もお楽しみにご覧ください。

 2023年11月に国立研究開発法人水産研究・教育機構より「海草・海藻藻場のCO2貯留量算定ガイドブック」が公開されました。この中では、日本沿岸の藻場は海藻養殖を含めて21タイプに分類され、さらに構成種の違いにより9つの海域に区分されることで、吸収係数が算定されました。吸収係数とは、海草・海藻類の貯留するCO2量を1m2あたりに換算した値を表したものです。

 北海道の各藻場タイプ別の吸収係数に注目すると、スガモ場タイプの吸収係数が最も高いことが確認できます。次いで、タチアマモ場タイプ、アマモ場タイプと海草藻場の吸収係数が高いことが分かります。海草藻場は北海道において産業的に利用されることはありませんが、Vol.15で紹介したようにニシンの産卵場などとして重要な藻場となっております。北海道の各藻場タイプ別の吸収係数について海草藻場以外に注目すると、温帯性ホンダワラ場タイプが4番目に高く、5番目に高いのがマコンブ場タイプとなっております。同ガイドブックでは、海藻養殖は海域・手法などによって収穫量の差が大きいため吸収係数の標準値を示しておりませんが、水揚げ量に対する取り残し量の比率の標準値が示されており、これによってCO2貯留量を算定することができます。北海道ではコンブの造成や養殖が各地で行われているため、天然藻場と養殖の双方でCO2貯留量の算定が可能となっております。


写真 スガモ繁茂の様子

 北海道全体のCO2貯留量の試算値について環境省の資料を確認すると、全国でも大きな割合を占めていることが分かります。CO2削減を目指す上で、北海道の藻場のポテンシャルを活かすことは非常に価値あることと言えるでしょう。

参考資料

1)水産研究・教育機構(2023)海草・海藻藻場のCO2貯留量算定ガイドブック. 水産研究・教育機構,pp. 13.

2)ブルーカーボンに関する取組み
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/blue-carbon-jp.html

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