磯焼けの海を海藻の森林へ
自然環境部 海域担当チーム
伊藤 尚久
先日(5/16)、NHK函館放送局が某TV番組内のコーナーで乙部町の「アカモク」という海藻を紹介していました。5月上旬から約2週間が旬とのことで、ちょうど収穫期を迎えており、地元の漁師さんが船上から手作業で刈り取りを行っている映像が流れていました。数年前までは、定置網によくひっかかる雑海藻として厄介者扱いをされていましたが、いまでは乙部町の新たな特産品となっているようです。
「アカモク」とは、褐藻綱ヒバマタ目ホンダワラ科に属する1年生の海藻です(写真①参照)。北海道(東部を除く)から日本列島全土の浅海に広く分布しており、秋から冬に生長して4~7mの長さにまで達します。秋田県では「ギバサ」、山形県では「銀葉藻(ギンバソウ)」、新潟県では「長藻(ナガモ)」と呼ばれ、地元では郷土食としてなじみ深い海藻です。寒さが厳しい日本海側の寒冷地域では、生鮮野菜が手に入りにくかったため、貴重な栄養源だったようです。
実のところ、筆者自身、幼い時から「ギバサ」が大好物です。ボイルした後、細かく刻むとものすごい粘り気をもった状態(写真②参照)となるのですが、それに大量の醤油を垂らし、熱々のご飯の上にぶっかけて食べるのが本当に美味しいのです。他の海藻に比べて歯ごたえがあり、シャキシャキとした食感が楽しめます。また、味噌汁や納豆に加えて食べることもおすすめです。香りやうま味が引き出され、新たな風味が加わります。ただし、特有の磯の香りがしますので、苦手な方もいるかもしれません…
近年、「アカモク」は多くの栄養成分を含むスーパーフードとして全国ネットのTV通販で頻繁に紹介されており、需要は高まっています。また、 その他の未利用海藻についても注目度は高まっており、北海道内でも特産品の他、機能性食品素材、増養殖用餌料、農業用肥料等への利活用に向けた開発が進展しています。
弊社は、藻場づくりを通じた地域活性化への貢献を目指し、主に北海道を代表する有用海藻のコンブ類を対象とした技術開発に取り組んでおりますが、各種の未利用海藻についても技術開発の対象としてより一層注目していきたいと考えております。
写真①
写真②
参考資料)
NHK北海道:未利用の海藻を特産品に!アカモク~乙部町~
https://www.nhk.or.jp/hokkaido/lreport/articles/300/101/74/
テレ東 虎ノ門コラム:ぎばさの魅力とは?美味しさの秘密や栄養効果、美味しい食べ方を詳しく解説!
https://www.toranomon-ichiba.com/column/t-category/gyokai/gibasa.html
湘南アカモク 逗子・葉山:アカモクの生息について
https://shonan-akamoku.info/feature/inhabiting/
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