環境通信ラインナップ

  • エコニュース
  • 藻場通信
  • エコ森林通信
  • 洋上風力通信

藻場通信

磯焼けの海を海藻の

藻場通信 vol.42 取りこぼしなく!ブルーカーボン

自然環境部 海域担当チーム
土門 萌実

 弊社では、「低価格・高確度・省力化」をコンセプトに、地域活性化につながる藻場づくりを日々追求しています。本通信のバックナンバーでは、藻場をつくること、測ることを中心にお伝えしてきましたが、「藻場を活用する」ことでもお役に立ちたいと考えています。

 近年、気候変動の影響が深刻化する中、持続可能な環境保全の取り組みが求められており、その一つとして藻場造成によるブルーカーボンが注目されています。ブルーカーボンとは「海洋生物によって大気中のCO2が海洋生態系内に吸収・固定された炭素」のことであり、その量は、基本的に以下の計算式で求めることができます(令和6年3月にJBE※の申請手引が更新されています)。

※海洋の保全、再生、活用などブルーエコノミー事業の活性化を図ることを目的とした技術の研究開発や「Jブルークレジット®」を認証・発行・管理を行う組織です。

 

 炭素吸収量 (トンCO2/年) = 生態系の面積 × 吸収係数(トンCO2/面積/年)

 

 意外とシンプルな式ですが、この計算で使う要素がカギとなります。Jブルークレジット申請の際は、各要素の“確からしさ”によってその認証率が左右されることから、例えば下記のような点に留意する必要があります。

 

炭素吸収量の算定における各要素の重要な視点

 <対象生態系の面積について>
  ・生態系の境界の判断
  ・被度の考慮

 <地域性のある吸収係数か?>
  ・現地観測
  ・文献収集
  ・藻場タイプ、被度の考慮

 

 こうした視点の確実性や調査方法等に十分留意することで、より精度の高いブルーカーボンが算定され、そのポテンシャルを最大限に評価することが可能となります。

 弊社は、冒頭のコンセプトを軸にした藻場づくりに取り組みつつ、ブルーカーボンの算定・クレジットの申請・運用に関するコンサルティングも行っています。藻場づくりやブルーカーボンに関する取り組みについてお困りの方は、お気軽にご相談ください。

 


コンブ藻場の分布図(計量魚探による厚さの判定)

 

参考文献:

もどる