環境省の報道発表資料(平成26年8月1日)によると、カナダガンという鳥が外来生物法(正式名:特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)に基づき、特定外来生物※に指定されました。(詳しくは、http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=18484)
これにより、学術研究等の特定の目的以外でカナダガンを飼養することが原則禁止され、法的な防除の対象となりました。ただし、基準を満たす場合には、許可申請により飼養することが可能です。
なぜ、カナダガンは特定外来生物に指定されたのでしょうか。
カナダガンは北米原産の大形のカモの仲間です。
自然の状態では、これまで日本には生息していませんでしたが、近年、神奈川県・山梨県・静岡県・茨城県などで、生息・繁殖が確認されるようになりました。これは、人間によって海外から持ち込まれ飼育されていた個体が自然界に逸出し、分布を拡げているためと考えられています。このため、元々自然状態で生息していた近縁種であるシジュウカラガンとの交雑が懸念され、さらに農業被害(穀物・野菜の食害)、糞害、植生の破壊などが起こると想定されているためです。
著作者:Dr DAD (Daniel A D'Auria MD)
人間の手によって持ち込まれた生き物が悪者扱いされ、防除されてしまうのは、人間の身勝手のような気がして少し複雑な心境です。しかし、生態系は永い年月を経て自然に形成されてきたものであり、これまでにいなかった生物が人為的に突如として侵入すると、様々な弊害を起こす危険性があります。このような事態を起こさないために、外来生物法が平成16年に公布されました。外来生物法は、我が国の生態系や社会を守ることを目的として、外来生物を「入れない」、「捨てない」、「拡げない」ことを被害予防の三原則としています。
すなわち・・・
というものです。
著作者:PMcK
陸域環境チーム 米田 豊
※特定外来生物
外来生物(海外起源の外来種)であって、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものの中から指定されます。
特定外来生物は、生きているものに限られ、個体だけではなく、卵、種子、器官なども含まれます。