時々、「標識放流した魚を探しています。」という内容のポスターを目にすることがあります。そのポスターには、捕まえた時の連絡先などが書かれていますが、「本当にそんな魚捕まることがあるのか?」と思っていました。私自身、趣味で魚釣りをしますが、標識をつけた魚を釣り上げたことはありませんでしたし、見たことも聞いたこともありませんでした。
【参考】標識放流調査のチラシ
日本海区水産研究所HP( http://jsnfri.fra.affrc.go.jp/kenkyu/topics/h29buri/index.html )より引用
昨年8月のとある休日、函館市内のある岬に夜明け前から釣りに行ってきました。狙いはブリを釣ることでした。明るくなるのを待って、メタルジグというルアーを投げては巻いてくることをひたすら繰り返していると、強いアタリとともに、釣り竿が大きな弧を描きました(早い話、魚が喰いついてくれました)。なかなかの強い引きを楽しみながら、数分後無事に釣りあげることが出来ました。ブリと呼ぶにはかなり小さいサイズでしたが、おいしくいただくために血抜きと神経〆をしました。一休みしようと煙草に火をつけた時、背びれのところに小さな黄色い標識が付いていることに気づいてしまいました。
何となく、標識が付いている魚を食べる気分になれませんでしたが、既に処理をしていたため放流することもできず、身に問題がなければ食べようと思い持ち帰ることにしました。標識は水産試験場へ持って行き、釣れた場所、時間、魚の大きさ等を報告しました。
数日後、標識放流をした機関から文書を頂き、その魚が前の年に青森県で放流された魚だと知りました。1年以上前に一度捕まった魚がどこかを泳ぎまわり、最後に私のルアーに食いついたと思うとちょっと不思議な感じがしました。また、標識を見て報告したことで何かの役に立ったのかと思い、少し嬉しい気持ちにもなりました。
今後、このような魚に遭遇するチャンスは少ないと思いますが、機会に恵まれた際は、処理をせずに大きさ等を測って、標識に書かれていることを記録し、そのまま放流しようと思います。そうすれば、その魚がもう1度捕まった時に、もう少し色々なことが分かるのかもしれないと思っています。