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2020年10月15日

「エコ」と「ファッション」の話

 当社で現場作業を行う際は作業着の着用が基本となりますが、ふと、環境に配慮したファッションというものがあるのか気になりました。社名に「エコ」が入っているため、「エコ」な「ファッション」の着用がイメージアップにつながるのではないかと考えた訳です。

 しかし、調べてみると「エコ」と「ファッション」はなかなか難しい問題のようです。
 全世界の二酸化炭素排出量のうち、8~10%はファッション業界からの排出とのこと。
 製造に大量の水を必要とし、化学物質の使用も多く、荷造りが嵩張るため流通によって大量の二酸化炭素が排出されます。
 製造された衣服の85%は廃棄され、大量生産される安価な衣服(ファストファッション)は洗濯の度にマイクロプラスチックを排水に流すとも。
 ファッション業界は製造・販売によって成長し、流行を作り出すことが第一義となるので、消費を抑えようとする「エコ」とのバランス取りは難しいかも知れません。

 消費者側から見て、「エコ」と「ファッション」からイメージされるのは古着のリユースではないでしょうか。
 公害の発生から環境への関心が高まった60年代にちょうどヒッピー文化が成立し、古着の着こなしが流行ったのはなかなか面白い一致です。
 90年代にはグランジ・ファッションが流行り、再び古着の着こなしが流行りましたが・・・すぐ後にグランジを掲げるインディース・ブランドが登場し、ダメージジーンズ等が売られるようになった点などはファッション業界の強かさが感じられます。

 ほかにも、90年代はペットボトルのリサイクルから生まれたフリースが流行りました。
 しかし別の視点で見ると、フリースの流行は現在のマイクロプラスチック問題につながっているという見方もできそうです。
 2000年代に入ると省エネ・省資源の視点からクールビズの取り組みが進められましたが、ネクタイを外すアクションだけで済ませず、すかさず開襟シャツや涼感スーツが登場した点などは商魂たくましいといった感じです。

 このように並べてみて、「エコ」と「ファッション」の落としどころがなかなか見つからないものだなーと独り言ちたのですが・・・最近は「エシカルファッション」という思想ができているとのこと。
 エシカル(ethical)とは、「倫理的」とか「道徳上」という意味になりますが、おおよそ下記のような目標を掲げているそうです。
 ・ファストファッションの否定
 ・天然素材の使用
 ・動植物の保護および持続性への配慮
 ・薬品や水の使用の削減
 ・毛皮(リアルファー)の廃止
 ・原料の適正取引
 ・ファッション業界に係る労働者の保護

 ファッション業界が消費により動く点は変わりませんが、持続可能なファッションへの転換が始まっていると見るべきでしょう。このような考え方は2000年代初頭には登場していましたが、2013年に起きたダッカ近郊ビル崩落事故(詳細は下記リンク先参照)の後で機運が高まっているとのこと。
 マイクロプラスチックを排出しないフリース等も作られているそうで、今後の作業着の調達の際に、エシカルファッションを意識してみてもいいのではないかと思った次第です。

FBPO

 

<参考文献>
“大量の水の使用、そして85%はゴミに…ファッション業界は環境へ大きな影響を与えている” BUSINESS INSIDER
https://www.businessinsider.jp/post-200862
“ダッカ近郊ビル崩落事故” Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%83%E3%82%AB%E8%BF%91%E9%83%8A%E3%83%93%E3%83%AB%E5%B4%A9%E8%90%BD%E4%BA%8B%E6%95%85
エシカルファッションジャパン ホームページ
https://www.ethicalfashionjapan.com/
“洗濯でマイクロプラスチックが出ないフリースなど 欧州で広がるサステイナビリティーの追求” WWD JAPAN.com
https://www.wwdjapan.com/articles/703989
髙村是州(2018)「ファッションスタイル・クロニクル イラストで見る"おしゃれ"と流行の歴史」グラフィック社

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