数年前から、ひとりであちこちキャンプに行くようになりました。
私の所属する陸域環境チームは、いつも真相は藪の中(文字通り)、のような仕事なので、アウトドアに関するスキルやノウハウ、用品、といったものはかなり身近な存在です。
そうした知識や経験を活かせる上、自然に触れ合える遊び、ということで、子供が小さいうちはファミリーキャンプが我が家の休暇の定番だったのですが。思春期を迎えた娘たちは、すっかり父には付き合ってくれなくなりつつあります。
かといって、友人を誘って、といっても、いい年になってくるとお互いの都合を調整するのはまぁまぁ億劫で、誘った側にも誘われた側にも若干の「重さ」のようなものが残ります。ましてキャンプのような外活動はどうしても天候に左右されるので、なおさらです。
そんな外部事情のなか、ひとりなら土日スカッと晴れそうだ、という最新天気予報だけで好きなように動けてしまうので、行ってみようかな、という程度で始めてみるとハマってしまった、というのが、私がソロキャンプを始めたいきさつです。
近頃はソロキャンプがブームのようで、実際私がよく行く場所でも「おひとりさま」の率は急激な増加傾向にあるようです。しかし、未経験で「キャンプといえば夏にみんなでバーベキュー」と思っている方からは、「ソロで何が楽しいの?」みたいな問いかけをよくされます。
そこで、あくまで私個人の場合ですが、「コレが楽しい」をお話したいと思います。
① 自由である
ひごろ、誰かと何かをしている時は、いかにいろいろを制約されているか、というのを、ソロキャンプに行くと思い知らされます。当然キャンプ場のルールや、自然の中で過ごす上でのマナー、といったことは守った上で、の話になりますが。少なくとも、日がな一日ハンモックで寝そべっていたり、地べたの草花写真が撮りたくて匍匐前進していたり、おならをしたり、そういうことを咎められることは一切、ありません。好きなことを好きなように、の領域が極めて広くなります。
② 屋外である
私達のような仕事をしていても、寝る場所は家ですし、仕事も基本は会社でするものなので、屋内にいるのが日常だと思います。キャンプに行くと、都市公園のようによく整備されたキャンプ場であっても、そこは屋外で、非日常の感覚が強くあります。太陽のもとで、風が吹けば緑がそよぎ、鳥や虫が鳴き、夜は星空が輝く。日頃当たり前の電気ガス水道も必ずしも当たり前でなく(ゼロでもないですが)、ちょっと工夫がいる。そんな状態です。なんというか、日頃よりは自分を生き物としてシンプルな存在、自然に生かされている存在と感じられる。そんな感覚が楽しさと感じます。
こんなところにただいるだけでも楽しめます
③ 安価である
初期投資として、ある程度の道具一式(テント、寝袋、火器、食器ぐらい)は必須ですが。それが揃ってしまえばランニングコストはいかようにでも詰められます(逆に、グッズハマりをしてどこまでも費用をかけるタイプの人もいるようですが)。私の場合は、キャンプ場の利用料が無料ないし数百円のところばかり狙っていく上、プラスかかるのは移動の燃料代と食費だけです。最近は拾った薪だけを燃料に、調理器具は100均縛り、みたいなハマりかたをしているので、調理に関する費用もかからなくなってきています。費用面でのハードルの低さは大きな魅力です。
吊リ下げているいろり鍋とフタ、下のスキレットと取手カバー、その台の網、全部100均です
④ 焚火である
夜は必ず、焚火をします。調理の間は弱火でちょろちょろ、食べ終われば豪快に。そして酒を呑みます。ちびちびと赤ワインなんかだったり、焚火ついでにお湯を沸かしてウィスキーのお湯割りだったり。火を眺めながらの酒は普段より格段に贅沢なものに感じます。そして、何もかもがどうでもよくなるぐらい呑んだら、自然と寝ます。
ただ眺めているだけで癒やされます
⑤ 朝靄である
ひとりなので寝坊するのも自由なんですが、だいたい日の出頃には小鳥たちが盛大に鳴くので自然に目覚めます。そのころ、とくに水辺のキャンプ場では、相当の確率で朝靄が出ています。朝靄の向こうから差し込んでくる朝日を浴びつつお湯を沸かしてのコーヒー。朝の清々しさは、私の中で夜の焚火とセットです(ただし、このあと相当の確率で二度寝します)。
早起きはいいものです。あとで二度寝しますけど。
どうでしょう、楽しさが少しはおわかりいただけたでしょうか。このほか、食べる・泊まるの段でお金がかからず楽しめるようになってくると、普通の旅行のように旅先の名所を巡ったりお土産を買ったり、というところに費用を回しやすいのも良い点ですかね。
日頃忙しい皆さんに、自由できままなソロキャンプ、体験してみることをおすすめします。