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2015年11月24日

かもめのジョナサンと40年の歳月

 先日、嫁さんから1冊の本をもらいました。「かもめのジョナサン完成版」という本です。受け取ってから1ヶ月が経ちますが、まだ読んでおりません。
 

 ご存じの方も多いと思いますが、「かもめのジョナサン」は1970年に発表された小説です。
 餌をとるために飛ぶのではなく、飛ぶ行為そのものを極めるために飛ぶカモメのジョナサンは、群れの中で異端視されます。しかし、自らの意思を貫いたジョナサンはやがてカモメの領分を超えた存在となり、後半にはジョナサンの意志を継いだ次世代のカモメも登場します。
 

 私は高校を卒業する際に、下宿の近くに住んでいた先生から餞別としてオリジナル版をいただきました。1974年8月に発行された邦訳初版7刷で、日本国内で発表された当時の古い本です。
 受け取った際に「先生は、これがいつか君自身の物語になると思う」という言葉もいただいたのですが・・・40代前半の現在もまだまだ教えられる部分の方が多く、道半ばにして次世代の導き手にも成り得ていません。
 

 さて、作者のリチャード・バックはもともと4部構成で本作を執筆していたそうです。しかしながら、何らかの理由で第4部は封印され、発表されたオリジナル版は3部構成の作品でした。幻の第4部を加えた完成版の発表は2014年であり、実に40年以上の歳月が流れています。
 第4部の内容に自身が納得するまで、40年以上の熟考が必要だったのか。あるいは、老成したことで次世代に伝えるべき点があったことに気付き、発表に踏み切ったのかも知れません。
 

 オリジナル版を70年代に読んだ方の多くは、40年の歳月の中で豊富な人生経験を得て、次世代を導く役割を既に担っていることと思います。劇中のジョナサンと、作者のリチャード・バックと、発表当時の読者の三者が、等しく次世代を見つめる立場に立っている訳です。
 そのように考えた時、幻の第4部を読む際の自分も、年を経て次世代を見つめる立場になっていたいと思うのですが・・・放置してある本に気付いた嫁さんにどやされそうでヒヤヒヤしております。
 

 
大型船の係留チェーンに止まるユリカモメの群れ。見つめる先は海か空か。
 

boxy

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