今年の干支は申(サル)ですが、「紅猿子(ベニマシコ)」、「銀山猿子(ギンザンマシコ)」とは何かご存知でしょうか。
実はどちらも猿の仲間ではなく、鳥の和名です。
写真左:紅猿子(ベニマシコ)♂,写真右:銀山猿子(ギンザンマシコ)♂
(撮影:陸域環境IIチーム 米田豊)
「猿子(マシコ)」とは、スズメ目アトリ科に属する、顔が赤い鳥の総称です。顔が猿のように赤いため、このような名前が付けられました。赤いのは雄だけで、雌は地味な色をしています。主に植物の果実や種子を食べるため、その食性に適した太く短い嘴(くちばし)を持っています。
写真左の「ベニマシコ」は、北海道では夏鳥で秋に南に移動し、本州以南では冬鳥となります。主に平地から低山の草原で見ることができます。
写真右の「ギンザンマシコ」は、北海道では周年または冬鳥で、夏には高山のハイマツ帯、冬には平地から低山の針葉樹の多い森林で見ることができます。本州では、ごくまれに確認されるようです。北海道レッドデータブックでは、「希少種」に選定されています。
先日、札幌国際スキー場へ遊びに行った際、フィルルルル…と柔らかい鳴き声が聞こえ、振り向くとギンザンマシコが数羽、針葉樹に止まっていました。
ギンザンマシコの体長は22cm程で大きく、比較的目立つと思います。
この冬、森林などへお出かけの際には、少し探してみてはいかがでしょうか。赤い顔をした希少な鳥がいるかもしれません。
<参考文献>
河井大輔・川崎康弘・島田明英・諸橋淳(2003)北海道野帳図鑑.亜璃西社.
中村登流・中村雅彦(1995)原色日本野鳥生態図鑑〈陸鳥編〉.保育社.
北海道(2001)北海道の希少野生生物 北海道レッドデータブック2001.