突然ですが、みなさんは最近虹を見ましたか?一般的には、雨上がりや霧雨の降った後に現れる主虹・副虹を虹と呼びます。これは、光が空気中の水滴によって屈折・反射されることで現れる現象です。また、大気圏上層で薄い雲が広がったときに現れる日暈(ひがさ)・月暈(つきがさ)も虹の仲間で、光が雲の氷晶によって屈折されることで発生します。
このように、大気に浮かぶ水滴・氷晶などが、太陽や月の光を屈折または反射させて起こす様々な現象を大気光学現象と呼びます。美しく神秘的な印象を与えるため、古くから文学・音楽・絵画・宗教などのテーマに取り上げられてきたようです。私も虹を見つけると、カメラを片手に持ち空を眺めてしまいます。
虹や日暈などはどちらも一度は見たことのある方が多いと思いますが、今回はこれまでに観察することのできた、大気中の物質が起こす珍しい虹を発生させる大気光学現象をいくつかご紹介します。
●日光環
太陽を取り囲む虹の円盤が現れる現象です。撮影時は蜂の巣状の巻積雲に現れましたが、花粉の飛散量が多い時期や霧が濃い日にも発生するようです。
●環天頂アーク(逆さ虹)
太陽高度が低い時間帯に、太陽光が巻層雲を通過すると現れる虹です。これを撮影した時間帯は夕方で、頭の真上にできたものを発見しました。
●ブロッケン現象
太陽を背にして立つと、全面の霧や雲に投影された自分の影の周りに虹の輪が浮かぶ現象を指します。写真は、私が乗っていた飛行機の影の周りに現れた虹です。
大気光学現象は、条件が合えば朝・昼・夕・夜のいつでも観察することができます。特に、これから深まる秋は天気が変わりやすく、様々な空模様を楽しむことが出来ます。ふとした時に、空を眺めてみてはいかがでしょうか。
<参考文献>
ギャヴィン・プレイター=ピニー(2007)「雲」の楽しみ方.河出書房新社,東京,231-256.
木原 実(2009)楽しみながらよく分かる 気象のしくみ・天気図の見方.主婦の友社,東京,107-126.