株式会社エコニクス 環境戦略部
伊藤 尚久
小学校時代をふと思い起こしてみると、音楽の教科書に載っていた文部省唱歌の歌詞はほとんどが難しい文語体だったため、当時の私は歌詞の意味がよくわからないまま、何も考えずに歌っていた(歌わされていた?)気がします。
しかし、この「朧月夜」という曲は、六年生の時(らしい)に音楽の授業で習って以来、なぜかしらずっと私の心に染み入っています。
「朧月夜」
高野辰之作詞・岡野貞一作曲/文部省唱歌(六年)
菜の花畠に 入り日薄れ
見わたす山の端 霞ふかし
春風そよふく 空を見れば
夕月かかりて におい淡し
里わの火影も 森の色も
田中の小路を たどる人も
蛙のなくねも かねの音も
さながら霞める 朧月夜
小学校の最高学年で習ったこともあり、ある程度文語体を理解できていたせいかもしれません(一番の歌詞はほぼ口語体ですし…)。
単なる日常の風景の描写で日本特有の自然観を美しく表現しているところにすごく感銘を受けたのです。
インターネットの掲示板で「好きな文部省唱歌」というスレッドがあったので覗いてみたところ、「朧月夜」はかなり上位の方でした。
実際、ポップ歌手である槇原敬之さんや中島美嘉さんも自身のアルバムでこの曲をカバーしています。
やはり、多くの日本人の心に響いている名曲なんだなと再認識しました。
ちなみに「朧月」とは、霧や靄(もや)などに包まれて柔らかくほのかに霞んで見える春の夜の月のことであり、春の季語になっています。
風情があり、清らかで美しいイメージがありますが、実際のところ、その発生要因の一つは「黄砂」や「PM2.5」といわれています。
そう考えると、「朧月」という現象は手放しで歓迎できるものではないですね。
でも、いつの日か、この歌が描写している美しい日本の原風景を撮影してみたいと思っている今日この頃です。
道内で撮影した菜の花畠(朧月夜ではありません…)