7月の3連休に、おたる水族館に行ってきました。常設展示や特別展示のほか、イルカショーなどの様々なショーがおこなわれていますが、私はいつもトドショーを楽しみにしています。
おたる水族館のトドショーは、某海賊映画のテーマ曲をBGMに、トドたちが海岸の岩場を模した階段状の台の上から次々とダイビングをしたりするとても迫力のあるショーです。ショーの最後には、出演しているすべてのトドが同時にダイビングするのですが、今回運よく興味深い出来事に遭遇しました。
同時ダイビングをおこなうため、出演していた4頭のトドが、一番体の大きいトドを先頭に次々と台の上に登っていく…はずでした。しかし、先頭のトドは一番上の台まで辿り着いたのですが、二番目に続くトドがなかなか台に登ろうとせず、それに続く2頭も登らなくなってしまいました。飼育員さんたちが何度も指示を出し、ショーを続けようとしていたのですが、トドはまったく言うことを聞かず、大きな声を出しながら、どんどん興奮状態になっていきました。トドと飼育員さんの攻防がそれなりの時間続いたため、MCの飼育員さんが慣れた様子で実況とトドの生態について説明をしてくれました。
この時期のトドは発情期で、興奮状態になりショーがうまくいかなくなることがよくあるそうです。トド同士のケンカが始まってしまうと飼育員さんにもどうすることもできないとの説明がありました。成獣の雄で体長約3m、体重約1,000kgともなれば、そりゃ人間はひとたまりもないなと思いながら、飼育員さんがトドに襲われるのではないかと、ひやひやしながら見ていました。最終的には、一番上のトドのみダイビングをして終了しましたが、一番上で餌をもらいながら、長い時間大人しく待ち、役目を果たしたトドはプロでした。
ちなみに、その様子を見ていた私も興奮状態で、写真を撮影することをすっかり忘れて見入っていました。代わりに、3年前のトドショーの写真をお見せします。この時は、全5頭の同時ダイビングでしたが、大成功でした。
今回は3連休だったので客層は子供連れが多く、予定通りのショーを楽しみにしていたお客さんにとっては残念だったのかもしれませんが、私としては、この時期にしか見ることができないトドの生態に遭遇するという貴重な経験ができ、大満足でした。水族館や動物園には、年に1回と言わず、多様な時期に数回足を運んでみると、動物たちの様々な生態に出くわすチャンスがありそうです。
2016年5月13日のトドショー
(おたる水族館にて 筆者撮影)
<参考文献>
和田一雄・伊藤徹魯(1999). 鰭脚類:アシカ・アザラシの自然史. pp272. 財団法人東京大学出版会.
”おたる水族館”.小樽水族館公社. <https://otaru-aq.jp/>