漁業シリーズ Part1・内水面漁業との共生 その1
株式会社エコニクス
取締役 佐々木 達
淡水系の出現魚種については、1938年(昭和13年)には51種(Okada&Ikeda,1938)と記録されていますが、1982年(昭和57年)には70種(前川・後藤、1982)の魚類が確認され、約50年間に約20種類の魚類の分布が新たに確認されています。
それらはカンキョウカジカ、シロウオ、イシカリワカサギなど数種の生息が新たに確認された他モツゴ、オイカワ、ブルーギルなど近年本州などから北海道に人為的に?移入され、自然繁殖するようになった種類も10種類含まれていますので、北海道での自然分布は約60種です。
また、ごく最近ではブラウントラウト、ギンザケ、アマゴ、アオウオ、カムルチーの捕獲記録もあります(鷹見・青山、1999)。
これらの魚種を生活史と生物地理学的要素によって区分してみますと、約60種からなる北海道の淡水魚類相は、日本列島全域のそれと比べて以下のような特徴を持っています。
(1)その構成数は日本列島全域(約200種)の3分の1以下であり、琵琶湖周辺の約120種に比べても半分と少ない。
(2)日本列島の中で北海道にだけ分布する魚種は、イトウ、オショロコマ、イシカリワカサギ、シシャモ、エゾホトケ、フクドジョウ、ヤチウグイなど10種以上を数えるが、世界的にみると北海道の固有種はシシャモ1種にすぎない。
(3)ほとんど全ての構成種が近隣のユーラシア大陸東部、北アメリカ大陸北西部や日本の本州以南の島のいずれかに分布共通種であり、生物地理学的要素からいえば(青柳、1957)、シベリア系、北太平洋系、シナ系およびインドシナ系の魚種からなる混合魚類相である。
(4)生活史タイプからみると、純淡水魚は5種(全体の約8%)と極めて少なく、しかもその多くはシベリア系魚類であり、本州以南の淡水魚相を特徴づけるコイ科魚類をほぼ完全に欠いている。
(5)残りの構成種(約92%)は、川と海とを行きする通し回遊魚やその陸封魚、および周縁淡水魚などの、現在または過去に海と関係のある生活環をもつ魚種からなる。
また、北海道で内水面漁業、養殖業の対象になっている魚種としてワカサギ、カワヤツメ、アユ、キュウリウオ、コイ、フナ、ニジマス、サクラマス(ヤマベ)などがあります。
内水面漁業で平成8年にはワカサギは590トン、カワヤツメが40トン、チカが197トン漁獲されています。