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エコニュースVol.062

1998年08月01日

水産・環境シリーズ Part1・海外編 その4

中国的水産養殖

株式会社エコニクス
 技術開発部 劉 海金(りゅうはいじん)

 漁業とは、日本では一般的に水産動植物を穫ると解釈されておりますが、近年では養殖も含むようになりました。中国では、「漁業」とは文字の意味から水と魚を産業にするという意味があります。そして「捕魚業」または「養魚業」という言葉があります。捕る漁業と養殖業を含めて「漁業」と呼ばれています。捕る漁業は勿論歴史が長いのですが養殖業も2千年の歴史があります。

 多くの国は漁獲高が年々減少し漁業が衰退している中で、中国では内水面で早くから養殖業に取り組んでいたことが漁業が発展している原因の一つと考えられています。1994年中国の水産総生産量は2,128万トンで日本に比べると3倍近くになっており、世界一の水産国の地位を確実にしています。また、養殖漁業の生産量は1,136万トンとなっており、総生産量の約53%を占めています。

 このように中国では、内水面漁業が盛んなことと、古くから養殖業を取り入れていることが大きな特徴となっています。中国式の養魚とは、ソウギョは草食性なので草を与え、水中の栄養塩やソウギョの排泄物で繁殖した植物性プランクトンはハクレン(白連)の餌となり、また動物プランクトンはコクレン(黒連)の餌となり、さらに底に棲む小動物をアオウオ(青魚)が食べるという「混養」が養殖の基本となっています。一方、海面養殖ではコンブ生産量は約60万トン(乾燥重量)であり、ホタテガイ80万トン、海産魚10万トンとなっています。

 また、渤海を中心にコウライエビ(大正エビ)の種苗を放流する養殖が普及し、1991年には20万トン以上の生産があったのですが、その後、病気の発生等のため減産しましたが、最近になって徐々に回復してきたようです。

 中国で生産されるホタテガイはほとんどアメリカ系のものですが、最近、採算が良くないので「蝦夷扇貝」(日本のホタテガイと同じ種)にしているところが多くなっています。なお、中国では「蝦夷扇貝」の人工種苗の技術は完成しております。海産魚の養殖も年々盛んになり、山東省栄成市だけでもこの5年間に10万平米の陸上魚類養殖場が作られたと言われております。

 このように養殖漁業が盛んになる一方で中国沿岸の富栄養化が進み、沿岸域の汚染もかなり進んでいるので、これらの対策に早く取り組んでいかなければ養殖業への影響が出てくると懸念している専門家もおります。

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