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エコニュースVol.047

1997年05月01日

水草生態系シリーズ Part2

水草は自然界の汚水処理班

株式会社エコニクス
 環境技術部 技術研究グループ 石原 知佳

 全国各地で生活排水・農業排水・工場排水などを汚染源とした河川・湖沼等の水質悪化が問題となっており、その対策が急がれています。水質悪化の原因の一つとして、有機物や窒素・リン等の過剰な栄養塩の放出があります。処理施設の整っている所では排水は処理場に集められ、浄化処理後放出されます。有機物は現在の手法でほとんど処理されますが、窒素、リンに関しては有効とはいえず、ほとんど処理できずに放出されている例が多く見受けられます。窒素、リンの栄養塩は水に大量に溶けていても一見透明なので、問題にされないことも多いのです。しかし、多量の窒素・リンなどの栄養塩が湖沼・内湾などに流入すると、アオコなどの現象にみられるように植物プランクトンなどがそれを栄養源としておびただしく繁殖します。大量に増殖した植物プランクトンが枯死する際に有機物化し、それが分解される過程において酸素不足となり、最終的には生物の棲めない環境となってしまうのです。このような現象を富栄養化といいます。

 最近、水辺環境の大切さが再認識され、多自然型川づくりなどにみられる、人間が親しめる潤いのある水辺を求める動きが大きくなってきています。

 ところで、水草は何を栄養として増殖するのでしょう。もちろん、水、日光、二酸化炭素などはかかせません。

 しかし、より生長するためには肥料分として、窒素、リンなどの栄養物質が必要なのです。過剰に流出する栄養塩は逆にいえば、水草にとっては生育に必要な物質なのです。もちろん、植物の生育速度は限られており、水域の面積に対して水草の生育している範囲が狭ければ、栄養物質の吸収速度は微々たるものになってしまいます。しかし、過剰の栄養塩の流入するところで少しでも栄養塩を水草や微生物によって吸収除去できれば水質汚染を少しでも軽減できることになるのです。

 このような水域の富栄養化の主要因である窒素やリンを水生植物を中心とした生態系を用いて除去しようとする試みは広く行われており、ヨシ原を利用した水質浄化、水生植物を植栽した水路に汚水を流し浄化を図るなどの対策や試験が各地で行われています。

 

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