流氷シリーズ Part1
株式会社エコニクス
調査Ⅰ部 環境モニタリンググループ 村井 克詞
オホーツク海の北海道沿岸海域は、北半球の中で凍る海としては最も南に位置しています。この海域では毎年1月から3月まで流氷に覆われますがその勢力や滞在期間は年によって大きく変動しています。同じ緯度にもかかわらず日本海や太平洋では海が凍らないのに、オホーツク海だけが凍るのはなぜでしょう。
1)大陸、サハリン、北海道、カムチャツカ半島、千島列島に囲まれた閉鎖的な海域であること。
2)大陸からアムール川の淡水が多量に流入すること。
これらの要因により、この海域では表層に低塩分水層を持つ特殊な海洋構造を形成しています。海水は、対流を起こしている水塊全体が 結氷温度(-1.7℃)になってから凍り始めます。日本海や太平洋の対流層が深いのに対し、オホーツク海では表層約50m(表層低塩分水層)といわれています。この対流層の厚さの違いが凍る海と凍 オホーツク海の海氷分布の推移らない海を別けています。
紋別における流氷の勢力の年による変動
(北大流氷研,流氷レーダ資料により作成)