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エコニュースVol.174

2007年12月01日

<海の生物シリーズ Part8>

ペレット状の変なもの

株式会社エコニクス
環境事業部 水域環境チーム 安達 大

 これは、ある発電所での出来事でしたが、一般に発電所では取水口より海水とともに吸い込まれた生物は、海水系統を通過する時に昇温による影響、管やポンプ等との接触による影響、塩素による化学影響等を受けます。しかし、実際に調べてみると、それらの影響は小さく、それらよりも取水管等に付着しているフジツボ類やイガイ類によって捕食される影響の方が大きいことがわかりました。


謎の黒い物体 

 写真にあるペレット状の物体は、この時には誰もわかりませんでしたが、その後フジツボ類やイガイ類の飼育試験を何度かやることにより、フジツボ類のフンということがわかりました。
 写真には、フジツボ類の捕食する器官である曼脚の抜け殻があり、フンの大きさが推定できると思います。フジツボ類は、自分の曼脚にひっかかるものは何でもその口に運び、また、同じ口からフンを排出します。従って、その大きさから殻長が想定され、形状から種類まで特定できます。更にまた、フジツボ類のフンは円筒形をしていますが、イガイ類では濾水管の形状であるW型をしていることもわかってきました。

   
 イガイ類のフン(左)とフジツボ類のフン(右)

 かつて、日本軍は敵のアジトを発見したとき、トイレのフンから兵士が何人いたか推測したといいます。また、野生動物を研究している方は、地べたに転がっているフンや足跡からその生物の種類や大きさを特定し、生息状況も推定できるといわれています。
 本技術も応用すれば、発電所の取水設備に付着している生物の種類、大きさ、量などをその取水系統で採水するだけで簡単に推定することができます。それによって取水管に付着した生物の付着厚による取水障害、大きなイガイ類の大量脱落現象等を事前に推定すること、更には、付着生物の除去作業時期の推定など、発電所の安全対策強化やコスト削減が可能になると考えます。

■参考文献
青山善一,原猛也,山田裕,安達大(海洋生物環境研究所),塩田浩太(姫路エコテック).2006.フンから推定される付着生物の生息状況.2006年電気化学秋季大会.

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