<陸の生き物シリーズ Part8>
株式会社エコニクス
環境事業部 陸域環境チーム 前河 栄二
平成18年12月、環境省はレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)の見直し作業結果の一部を公表しました。レッドリストとは、レッドデータブック(日本の絶滅のおそれのある野生生物の種についてそれらの生息状況等を取りまとめたもの)の編纂作業の第1段階として環境省が作成しており、平成7年度より順次見直しが行われています。
今回の見直しにより公表された野生生物は、「鳥類」、「爬虫類」、「両生類」および「その他無脊椎動物」についてです。そのうち、「その他無脊椎動物」については56種がリストアップされており、前回の33種と比較して大幅に増加しました。この要因としては、「その他無脊椎動物」についての生態情報が前回の見直し時からさらに蓄積されたことにもよりますが、彼らの生息している環境が近年、さらに悪化しているためともいえるでしょう。
なお、今回の見直しには含まれていませんでしたが、今後レッドリストに記載される種数が増える野生生物の一分類群として、無脊椎動物の「陸産貝類」があげられます。
生物多様性調査により確認されたタカヒデマイマイ(絶滅危惧Ⅱ類(VU))の分布図
「陸産貝類」とは、一般にいうカタツムリやナメクジなどの陸に生息する貝類のことであり、日本では732種類が確認されています。北海道内においては84種類の生息が確認されており、 そのうちの約2割にあたる18種類が絶滅のおそれのある種としてリストアップされています。
「陸産貝類」に関しては調査・研究事例が少なく、現在も人知れず絶滅の危機に瀕している種もいるかもしれません。アジサイとともに日本の初夏を彩るカタツムリがいなくなってしまうのは、やはり寂しいものですね。