コンブシリーズ Part4・コンブと人工構造物
株式会社エコニクス
営業部 企画開発課 斉藤 二郎
人工構造物にたくさんのコンブを着生させるには、コンブが始めて付着する時期、即ち有性世代との相性がポイントの一つではないでしょうか。
色々な海域に設置されている現存の人工構造物はそのほとんどがコンクリートで作られています。潜水調査を行ってみると防波堤や消波ブロック等にコンブが着生している状況をよく観察します。しかしながら日本海沿岸では、広い範囲で安定したコンブの群落を維持している事例は少なく、構造物上で安定したコンブ群落の形成を目指し、コンブの着生について、現況把握や有効な材質、表面形状、構造等について様々な調査研究が行われてきています。これらの研究にはコンブ遊走子の着生機構、コンブを餌料とするウニなどの食植動物、さらにコンブと競合する他の海藻類の影響、栄養、光、海水流動、漂砂、水質等の海洋環境についてもきめ細かいデーターが必要と考えられます。言い換えれば、コンブの生活史を通じて、その場所々での生態系とそれを支える環境を把握し、生物側からの情報と、環境情報とを統合することが第一歩となりましょう。これはコンブに限らず環境を保全しながら有効に活用して行くための重要な資料にもなるわけです。ただ、コンブは上述のさまざまな(もしくは予想だにしなかった)要因の組み合わせにより、実海域ではバリエーションに富んだ着生や分布形態を演じており、なかなか私達の質問には答えようとはしてくれません。
今度、潜水調査のおりには、「なぜあなたはそこに生えているの?」と言ったテーマで、1時間ほどじっくりと対談を行ってみたいと考えています。