新年企画2016
地球規模での気候変動の影響を受け、天候の激変などの環境変化を身近に感じるようになりました。陸上と同様に海中でも海水温や海流の変動など大きな変化が生じています。これらは北海道の水産業にも大きな影響をもたらしており、沿岸域での管理型漁業の重要性やそれを支える環境情報の収集技術の必要性を感じています。
昨年、このような社会状況を踏まえて「光ファイバーを用いた海洋観測システム」の試験を4社のプロジェクトで行い成功することができました。この技術を早期に実用化し、水産業の発展や沿岸域の環境監視に活かしていきたいと考えています。
海域はもとより、私たちの生活を支える基盤であり財産である北海道の豊かな自然環境を残していくために、『環境を「見る」「知る」「活かす」技術』を進化させて、生態系の観点から地域発展に貢献できるよう、チマナコになって取り組む所存です。
今年も変わらぬご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
※昨年10月8日に逝去した弊社取締役会長 伊藤聡に対し、生前、故人に賜りましたご懇情に謹んで御礼申し上げます。今後、故人の遺志を継いで更なる社業の発展に努めてまいります。
本年の干支は申(サル)となりますが、日本国内で生息するサルとしてはニホンザル(学名:Macaca fuscata)となります。
皆さんもご存じのように、ニホンザルは北海道には生息していません。分布域としては、北は青森県下北半島~南は鹿児島県屋久島となっており、自然環境保全基礎調査(以下、基礎調査)の調査結果では北海道・茨城県・沖縄県を除く1都2府41県に分布しております。
このようにニホンザルは国内に広く分布する動物ですが、1960年以降よりその分布域を拡大しはじめ、基礎調査の調査結果では1978年から2003年にかけて分布域が約1.4倍に広がっていました。
分布域の拡大に伴い人里近くに進出したニホンザルは、農業被害(農作物の食害)や生活被害(人馴れによる家屋侵入)、人的被害(観光客への攻撃)など、人間社会に対し損害をもたらすようになりました。
野生鳥獣による農作物被害については、平成25年度で年間約199億円と莫大で、そのうちニホンザルによる被害は約13億円であり、単価の高い果樹や野菜が被害の中心となっています。
このような農作物への被害は、農業を営んでいる人達にとっては死活問題となっており、北海道においてもエゾシカ等が同様の被害をもたらし、被害額は年間約53億円となっています。
こういった状況を受け、農林水産省は他省庁と連携して法や補助事業の整備、鳥獣被害軽減へ向けた対策(個体数管理、防護柵の設置、追い払い・追い上げ等)を推進させ、その効果が徐々に現れてきてはいます。
もともとは人間が農地や宅地等を開発するために生息域に近づき、その後農山村の人口減少や高齢化などにより人間活動が低下したことにより、ニホンザルがより人間の生活圏に入り込み、このような被害をもたらしていると考えられています。
そう考えると事の発端はやはり人間ですので、野生鳥獣との関係についてバランスをとるのも人間側ではないかと考えます。
当社の社の使命の中にもあるように「自然と人間が共生する生態社会において、調和ある環境保全と利用開発」を目指すべく、2016年は野生鳥獣と人間活動との調整役として貢献できる1年としたいと思います。
環境事業部 小山 康吉
【参考ホームページ等】
環境省 第6回自然環境保全基礎調査 種の多様性調査 哺乳類分布調査報告書
http://www.biodic.go.jp/reports2/6th/6_mammal/6_mammal.pdf
http://www.env.go.jp/houdou/gazou/5533/6252/2140.pdf
農林水産省 鳥獣被害対策コーナー
関係規則
野生鳥獣による農作物被害状況
野生鳥獣による被害防止マニュアル等
http://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/