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エコニュースVol.370

2024年04月01日

北海道のこんぶ

株式会社エコニクス 自然環境部
田保 知佳

 私は道南生まれで、家から徒歩数分の場所に漁港や海辺があり、海を身近に感じる場所で育ちました。海の中に入って子供の泳ぎでもすぐいけるような場所に幅広のこんぶがゆらゆらと揺れているのが見え、潜ってみると底はほとんど海藻で覆われていて、とげの短いうにが見え隠れしていたのを覚えています。

 幼いころはこんぶ、うにとしかわかりませんでしたが、マコンブとエゾバフンウニですね。当たり前のようにあるものと思っていましたが、その場所は現在マコンブはほとんどみられず、エゾバフンウニが点在している磯焼けの海へと変わってしまっています。

 北海道にはマコンブのように食用とされているコンブが何種類も分布しており、マコンブ(真昆布)、オニコンブ(羅臼昆布)、リシリコンブ(利尻昆布)、ミツイシコンブ(日高昆布、三石昆布)などが有名です。おでんの具や昆布巻等としての利用はもちろんですが、用途として多いのは出汁昆布としての利用です。それぞれのコンブで特徴があり、地域ごとに好まれるものが異なるようです。

 このような水産物として価値が高いコンブは東北以北を産地としており、天然コンブの生産量の90%以上は北海道が占めています。しかし、北海道でもコンブの生産量は減少の一途をたどっています。1992年には3万トンの生産量がありましたが、2022年には1.1万トンとなり、30年くらいの間に生産量が約1/3まで減少しています。

 


北海道におけるこんぶ漁獲量の推移

「北海道水産現勢」より作成

 

 コンブの生産量の減少の原因としては漁業者数の減少や高齢化もありますが、気候変動の影響も少なくありません。北海道大学の研究によると、北日本に分布する主要なコンブ11種すべてで、今後分布域が大幅に北上する、もしくは生育適地が消失する可能性があることが予測されています。1)

 このままでは北海道産の天然コンブの入手が難しくなる未来がきてしまうかもしれません。2013年に和食文化がユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、和食文化はコンブ等からとる出汁にささえられています。日本の誇る出汁文化を後世に長く引き継ぐためにも、こんぶがたなびく海での情景を守るためにも、藻場造成の取り組みにより一層力をいれていきたいと考えています。

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