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エコニュースVol.373

2024年07月01日

洋上風力発電事業の地域振興策と漁業振興策について

株式会社エコニクス 電力環境部
部長 村上 俊哉

 

 洋上風力発電事業は、日本における2050年カーボンニュートラルへの取り組みの一環として注目されています。この事業は、温室効果ガスの排出を削減し、再生可能エネルギーの導入を促進するために重要な役割を果たします。

 北海道は、洋上風力発電のポテンシャルが全国トップクラスであり、再エネ海域利用法に基づいた促進区域の指定に向けて積極的な取り組みを行っています。令和5年5月12日には、下図に示す①石狩市沖、②岩宇・南後志地区沖、③島牧沖、④檜山沖、⑤松前沖の5区域が「有望な区域」に整理され、今後は法定協議会(以降、協議会)にて発電事業を通じた地域振興策や漁業振興策、漁業影響などの留意事項について、地元の漁業者や関係市町村等と協議し、地域の将来像をとりまとめることになります。

 

図.再エネ海域利用法に基づく北海道の「有望な区域」

引用:1)洋上風力政策について 2023年10月16日 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/9/2/5/7/3/6/8/_/2_enecho1016.pdf

 

 

 「有望な区域」では、再エネ海域利用法に基づいた協議会を開催し、国、都道府県、地元市町村、関係漁業者、有識者等が選定事業者に求める事項を議論します。協議会における合意事項は「協議会意見とりまとめ」として文書化され、協議会の構成員(事業者選定後は選定事業者を含む)は、協議の結果を尊重しなければなりません(法第9条第6項)。最近の協議会では、洋上風力発電事業を通じた地域や漁業の将来像についても議論され、選定事業者は、地元と一緒になって、その実現に向けて取り組むことが求められます。

 経済産業省は今年の1月に、再エネ海域利用法に基づいた洋上風力発電事業者の3回目の公募を開始しました。このうち、青森県沖日本海(南側)における協議会意見とりまとめ案(令和5年7月28日)では、下表に示す地域振興策と漁業振興策が謳われています。

 

表.青森県沖日本海(南側)における地域振興策と漁業振興策


 

2)青森県沖日本海(南側)における協議会意見とりまとめ案 令和5年7月28日 青森県沖日本海(南側)における協議会より、筆者作成            https://www.mlit.go.jp/kowan/content/001621752.pdf

 

 洋上風力発電事業は、地元の雇用創出や産業クラスターの形成を通じて、地域経済の活性化を促進し、地域の産業である農林水産業・観光振興等への貢献が期待されています。開発行為による経済効果と地域共生を両立させるため、選定事業者は地元と協力して、漁業影響や発電設備の設置・運営に係る留意点、環境配慮などを検討する必要があります。

 エコニクスは、未来世代のニーズに応えるために、洋上風力発電事業を中心とした振興策の推進を目指しています。

 

<参考資料>

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