環境問題シリーズ Part3・子供番組と環境問題 その3
株式会社エコニクス
環境技術部 水域環境グループ 大湊 航一
自然をテーマとした歌は数多くありますが、日本中の誰もが知っており、且つ、思い出せる範囲で最古の歌となると、「手のひらを太陽に」が挙げられると思います。この曲はNHK総合テレビ「みんなのうた」で昭和37年2~3月に放送され、「生きものはみんな友達」というストレートなメッセージが評判を呼んで、その後の学校教育でも必須の名曲となりました。
歌い易いメロディーに乗せて自然の豊かさや動物の生態を歌った童謡は、子供たちの耳に入りやすく、環境教育においても格好の題材に成り得ます。秋に鳴く虫とその鳴き声を歌った「虫のこえ」も、都市近郊で虫の声が聞けなくなってきた状況を考えると、むしろ大人が覚えておいて損はない曲でしょう。
環境問題の複雑化に伴い、自然の豊かさの定義が変わり、動物の生態についても年々新たな発見がされるようになってきた現在ですが、それらをテーマにした童謡もしっかりと移り変わっていることはご存知でしょうか。
平成7年からNHK教育で放送され、翌年に第23回放送文化基金賞を受賞した「なんでもQ-あにまるQ-」(現在の「むしまるQゴールド」)はCGアニメーションと動物や昆虫の最新映像を用いてクイズ方式で子供たちにそれらの生態を紹介する番組ですが、この番組内で放送される歌が話題になっています。
IUCNのレッドデータブックに記載されているヨーロッパバイソンを歌った「哀愁のヨーロッパバイソンやねん」、帰化動物であるアライグマと在来種たぬきを歌った「ニッポンのたぬき」、カブトムシを捕まえて売ろうとする子供を歌った「カブト虫は840円」など、一見シュールなようでいて現在の環境問題を的確に風刺したこれらの曲は、「手のひらを太陽に」と同様に子供たちの耳に入り、同時にそれを聞く大人たちにも問題を提起しています。
歌に限らず、子供番組から大人が教えられることは多々あります。環境教育も同様で、子供に「教える」だけでなく、子供たちと共に「新たな発見をしていく」ことが大切なのではないでしょうか。