陸の生き物シリーズ Part4
株式会社エコニクス
環境技術部 植物環境グループ 藤田 玲
前回までは廃棄物と循環型社会というテーマでしたが、緑化においても循環の発想が必要であると考えています。
緑化植物を選定する際に、現地に自生している植物を利用することは、近年よく耳にされるかと思います。自生種はその場所に生育しているため、現地の環境に適応し、他所からもってきたものより安定した生育を示すからです。また、自生種はその場所の生態系の復元にも確実に役に立ちます。
自生種を利用する際には、まず現地で種子を採集し、それを蒔くことからはじめる事が多いですが、植物は自らの体の一部からでも個体を再生することが可能です。このような増殖手法には、枝を利用する挿し木、地下茎・切り株からの萌芽等の利用があり、生育が早いという特長があります。
また、種子を用いる方法でも、地中には発芽しないまま休眠している種子(埋土種子)があり、その埋土種子を利用することもあります。土壌中で休眠している種子は、地表面に撒き出されることによって、休眠が解除されて芽生えが生じるのです。
このように、植物は、その繁殖や再生能力を活かすことにより、複数の手法で増やすことが可能です。もちろん全ての植物がどの手法でも増えるわけではなく、種の特長を活かした繁殖方法を選択する必要があります。
掘り起こされた切り株は、廃棄物として処分されていますが、その中の切り株や地下茎の萌芽能力の高い木は、有用な緑化材料になります。
したがって、今後は、可能な限り切り株や表層土は捨てずに確保しておき、事業後の緑化材料として優先的に使うことが望まれます。
使用できるものは捨てずに使う。このリユースの考え方は、命ある植物だからこそ、より一層再利用し循環させることが必要だと感じております。