<生物多様性シリーズ Part6>
株式会社エコニクス
環境事業部 陸域環境チーム 渡辺 香織
「シマシマ尻尾のかわいいやつ」と思われていた「アライグマ」ですが、実は大変凶暴ということをご存知でしょうか?
見た目は確かに可愛らしいのですが、在来種のキタキツネやタヌキなどよりも体は一回り大きく、食性は雑食性で何でも食べます。しかも、原産国が北米ということで寒さにも強いことが知られています。
最近の哺乳類調査では、「自動撮影カメラ」というものを使うことが多いのですが、これが大変優れものなのです。アライグマもそうですが、多くの哺乳類は夕方から明け方にかけて活発に行動します。しかし、私達が主に調査をおこなうのは日中となってしまいます。その空白の時間帯に働いてくれるのが「自動撮影カメラ」なのです。
カメラを動物の通りそうなところに設置して、後はひたすら放置するだけです。と一見簡単そうに見えますが、一番の問題(この調査方法の肝)はカメラをどこに設置するのかということです。狙う対象によって微妙に設置の仕方が変わります。ここが技術者としての腕の見せ所なのです。
ここ数年、自動撮影カメラを設置して、撮影される動物は様々ですが、アライグマの撮影頻度が増加してきている印象があります。普段は全く目にしないようなところでも、夜間にはゾロゾロとアライグマが移動している姿が撮影されたりします。
アライグマについてはほぼ全道に生息域を拡大させ、在来種との競合や農業被害、感染症などが問題となっており、特定外来生物に指定をされ、自治体等により駆除がなされています。
野生生物を調査するものとしては、人間がペットとして勝手に持ち込んだものが増えすぎて困ったから駆除したいといわれるのは心が痛いです。
生き物を飼うということは、その生き物の命を預かるわけですから、一人一人が命の重みを感じてほしいと一技術者は思うところです。