土壌汚染シリーズ Part2・急がれる土壌汚染対策 その2
株式会社エコニクス
技術顧問 北海道大学名誉教授 大橋 弘士
前回ご紹介した「土壌汚染対策法」は5月22日に成立し、29日に公布されました。これに先立つ1999年1月には、「土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針および運用基準」が環境省から公布されております。これによりますと、土壌・地下水汚染の調査・対策の進め方は、契機、目的および主体に応じて、
(1)地下水汚染契機型、 (2)現況把握型、 (3)汚染発見型
の3つのケースに分類されます。
今後、最も重要になるのは、公有地等管理者または事業者が、事業所の移転またはその跡地の再利用等によって土地を改変する機会等に自主的に調査を行う現況把握型でしょう。その調査・対策のフローを図に示します。この場合には、対象地が汚染されているかどうか不明のため、まず「対象地資料等調査」によって汚染の可能性を判断します。わずかであっても汚染のおそれがある場合には、引き続き「対象地概要調査」を行います。この時点では、重金属の場合は表層土壌の、揮発性有機化合物(VOC)の場合は土壌ガスの調査を行い、汚染の平面的な分布を把握します。次の「対象地詳細調査」では、ボーリング調査を行い、深度方向に土壌と地下水を採取・分析し、汚染の三次元分布を把握し、浄化対策をとるべき範囲を確定します。
調査を考えるべき対象地は、過去の工場跡地およびその近傍地、廃棄物捨て場、変圧器や内容物不明のドラム缶等の放置場所、給油所跡地と油タンク埋設場所、過去に有害物質を扱っていたあるいは現在有害物質を扱っている工場等となります。北海道では、これらの他さらに農業、畜産業、水産業などに関連した土壌の汚染が懸念されております。
当社は、これらの対象地の資料等調査、概況調査、詳細調査を行い、汚染が判明した場合には対策を提案いたします。
図 「現況把握型」の調査・対策フロー