バイオガス活用シリーズ Part2・家畜糞尿の現況とバイオガス活用 その2
株式会社エコニクス
技術顧問 油津 雄夫
バイオガスプラントを活用する方法には、バイオガスプラントに尿だけを入れ、糞・敷料を堆肥にする方法と、糞・尿・敷料あわせてスラリーにする方法があります。
2000年5月から稼動している町村牧場では、約360(搾乳190)頭の糞・尿・敷料を一緒に、二基の発酵槽で約40日かけて嫌気発酵させ、発生したガスで毎時65Kwを発電しています。その電力は、畜舎・ミルクプラント・バイオ ガスプラントの動力に利用し、余剰電力は北海道電力に販売しており、同時に発生する温水は発酵槽を37~38℃に維持する熱源や畜舎などの床暖房にも利用しています。ガスを取った残りの消化液は二基の大型貯留槽に貯留して適期に自農場に還元しています。(周辺住民の臭いという苦情がなくなりました。)
酪農学園大学では、インテリジェント牛舎の一環として、糞尿の有効利用と環境負荷の低減に向けて、「乳牛糞尿循環研究センター」を新設し、フリー ストール牛舎などから地下パイプでバイオガスプラントに送り込まれる糞・尿・敷料を活用してコージェネ発電電力を学内で利用しながら、嫌気消化液中のメタン生成細菌解析=メタン発酵の安定化など「乳牛糞尿の嫌気発酵システムの開発と物質循環の実測とモデル化」の研究を2000年5月から行っています。
糞・敷料を堆肥にし、バイオガスプラントに尿だけを入れて、ガスで発電・温水供給・液肥つくりの地域システムの実証試験は開発土木研究所が中心になって、2001年から別海町と湧別町で行われています。