バイオガス活用シリーズ Part3・家畜糞尿の現況とバイオガス活用 その3
株式会社エコニクス
技術顧問 油津 雄夫
帯広畜産大学では2001年から5年間にわたる「バイオガスで燃料電池を稼動する実証試験」を開始しました。
燃料電池は水素と酸素を結合させて発電し、水だけ排出するクリーンで効率の高い装置であり、自動車では現在トヨタ・ホンダも参加して路上試験が行なわれております。近い将来、燃料電池を中核とする熱電併給コージェネレーションシステムが事務所・工場や家庭でも爆発的な普及が予想されています。燃料の水素を永続的に生産できる農林産物や廃棄物などのバイオマス資源におおきな期待がかかります。
帯広畜産大学ではエネルギー抽出技術の高度化、燃料電池による高度エネルギー変換技術の実用化の研究と共に、酪農地域向けの低コストプラント普及モデルの確立も計画しています。
家畜糞尿の低コスト処理の研究・実証試験・実用化は各地で行なわれており、遊休サイロを活用してバイオガスプラントを整備した酪農家や、安価な処理施設と堆肥の活用に地域ぐるみで取り組んでいるグループもあります。
道立畜試・農試では、畜産環境整備リース事業や農家が自力で整備する個別型モデル施設5タイプの実証展示を行っています。
林産廃棄物のオガクズを活用して糞尿を分解濃縮させている酪農家もあります。オガクズは高い空隙率・保水性・排水性・抗バクテリア性・土壌生物や担子菌による生分解性を持っていて、好気発酵を行ない易く、また、水分調整機能が長期間保持されるので、数回繰り返し利用出来ます。濃縮した糞尿を含むオガクズをコンポストにして移出・輸出することによって、酪農地域の養分過多を防ぐとともに、貧栄養地域の地力増進に役立ち、一石二鳥の効果が期待できます。
私たちエコニクスも北海道の環境改善と産業振興のお役に立てるよう一層努力して行きたいと考えています。