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エコニュースVol.098

2001年08月01日

海鳥シリーズ Part2・海鳥と私たち その2

海鳥を利用した漁法

環境省 北海道海鳥センター
研究員 小野 宏治

 海鳥をもっと積極的に利用する例もあります。鵜飼いは日本では長良川や宇治川など、十数カ所ほどが知られています。もっぱら川でおこないますが、鵜飼いに用いる鳥はカワウではなくウミウです。鵜を使う漁法は東半球の広い地域で見られましたが、現在も使っているのは中国や日本だけのようです。日本ではおもに伝統文化として保存がはかられているところが多く、ちなみに長良川で鵜を操る鵜匠は、宮内庁式部職という肩書きを持つ国家公務員です。

 瀬戸内海では、アビ漁が知られています。アビはアビ目アビ科のアビ、オオハムやシロエリオオハムなどの総称で、アビ類と漁師との信頼関係があってはじめて成り立つ漁です。アビ類は水中に脚を使って潜ります。そして、アビ類に追われたイカナゴの大部分は上においやられ、一部は水底へに逃げます。この漁の最盛期は二月で、水温が低いために水底にじっとしていたタイやスズキが、目の前に現れた餌を追っているところを、漁師が一本釣りで釣るというわけです。船は鳥をおどかさないように手漕ぎで、漁の間はけっして大声を出さないようにするそうです。世界的にも例がないこの漁は、越冬飛来するアビ類の激減とともに、残念ながら廃れつつあります。

参考文献:
『アビ鳥と人の文化誌』 百瀬淳子著(信山社、1995年)2000円

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