バイオレメディエーションシリーズ Part2
株式会社エコニクス
企画部 企画グループ 吉澤 香
1989年3月にアラスカでタンカーが座礁し、大量の原油が流出しました。
その際、夏になって汚染された海岸に微生物の栄養分を散布して微生物の増殖を捉したところ、真っ黒だった汚染海岸が見る見るうちに白く変化し、環境が修復されたということです。
この事実は、バイオレメディエーション導入の機運が急速に世界に広がるきっかけとなりました。米国では1995年までに690ヶ所で各種の技術が土壌汚染の浄化に適用されています。その内の57%は従来の浄化法が用いられおりますが、10%(69件)にバイオレメディエーションが用いられています。わが国では、1997年1月に発生したナホトカ号油流出事故による海岸の油汚染に対して様々な物理的・化学的処理手法が行われましたが、岩場の隙間等の油の完全な除去が困難だったということもあり、バイオレメディエーションによる油浄化への期待が高まっています。現在、バイオレメディエーションの技術調査やトリクロロエチレン等の有害物質の分解微生物に関する研究などが行われています。
バイオレメディエーションの技術には、表に挙げたような利点と欠点がありますが、これらの欠点は利点によって相殺され得るものであるともいわれています。とはいっても、バイオレメディエーションは新しい技術でありその手法は確立されたものではないので、適用には様々な配慮が必要となります。