北海道の花シリーズ Part2
株式会社エコニクス
契約社員 北ノ森自然伝習所主宰 三木 昇
6月下旬、原生花園が美しい季節となりました。小清水や厚岸のあやめが原が有名です。この原生花園の作り方を教えましょう。
それには海岸に広い土地を確保して柵をつくり、その中に道産馬を数頭放牧します。多少時間がかかりますが数年の内に次第に花が増えてきれいな姿になっていくことでしょう。観光地になるかもしれません。
ところで子どもの頃、ショートケーキの苺を先に食べるのか後にするのかという人生上の問題がありました。たいていの人は好きなモノから先に食べるはずです。
馬も嫌いなものを残し先に好きなものを食べます。嫌いなものはなんでしょうか。例えば人間ではセロリやニンジンのように香の強いもの、あるいは毒のあるものは食べません。それから茎に刺があるとか硬いものも避けます。では先に食べるのは何かというと、イネ科やマメ科の植物です。牧草といわれるものはイネ科やマメ科の植物ですからこれも当然のことです。それらが次々と食われていくと嫌いなものが残ります。これが幸いに人間にとっては美しい風景となるのです。オレンジのエゾスカシユリ、ハマナスはどうでしょうか刺でとても食えません。紫のヒオウギアヤメそしてクリーム色のヤマブキショウマ、黄色のシコタンキンポウゲ・・・
というように、馬が食い残すものは綺麗な花が咲いて人間には嬉しい美しい風景なのです。数年も馬の放牧が続くと次第に綺麗になっていきます。
ところで、ここで問題があります。せっかく綺麗になったお花畑ですが、馬のほうは花が綺麗だからよけるということはありません。馬はお花畑を作ってくれますが、あまりたくさんいるときれいな花も踏み倒してしまいます。せっかくのお花畑も台無しにしてしまいます。放牧の程度が難しいところです。
昔はこんなこと考えもしませんでしたがかってに「原生花園」になりました。原生花園はその昔、漁村のトラック代わりの馬の放牧地だったのです。
次回は、『北海道の花 part3』をお送りします。