<海の生物シリーズ Part16・エチゼンクラゲ その2>
株式会社エコニクス
環境事業部 泊担当チーム 田村 勝
エチゼンクラゲは、傘の直径が1mを超す日本最大のクラゲで、体重は大きなもので200kgにもなると言われています。本種の生態等についてはVol.173でも簡単に紹介されていますが、中国沿岸の東シナ海や黄海で発生し、対馬暖流に乗って日本海を北上してくるとされています。その感じはまるでベルトコンベアーだと称されたりもします。
図1 エチゼンクラゲ
(出典:石川県水産総合センター 大型クラゲ情報 より)
日本周辺海域にエチゼンクラゲの大量出現があったと認識されている年は、1920年、1958年、1995年、2002年、2003年、2005年、2006年、2007年とされており、その間隔は明らかに狭まっていることがわかります。
さて、弊社泊事業所のある古宇郡泊村地先においても、近年、秋から冬にエチゼンクラゲが出現し、弊社ダイバーも何度もその姿を目撃しております。
北海道での大型クラゲ(エチゼンクラゲ)の出現状況は道庁水産林務部水産振興課のホームページに公開されていますが、調査体制が整備された2006年以降、泊村漁協の定置網、底建網においても2006年、2007年と連続して出現が報告されました。大型クラゲによる被害は本州沿岸では深刻な問題となっていますが、ここ泊村地先においても大型クラゲが大量に来襲する可能性があると実感させられます。2008年は全国的に大型クラゲの出現がきわめて少なかった年で、北海道での出現は報告されませんでした。
表1 泊村地先の大型クラゲ目撃状況
(出典:北海道水産林務部水産振興課 大型クラゲ より)
それでは今年(2009年)はというと…
全国における大型クラゲの出現情報が社団法人漁業情報サービスセンターのホームページに公開されていますが、2年ぶりに大量出現の報告がなされており、しかも出現時期が例年より早いという特徴があるようです。日本海では若狭湾を中心に全域でまとまった出現が続いており、周辺情報への注意が喚起されています。
分布の先端はすでに津軽海峡を超え太平洋に達したほか、北海道においては8月30日に初確認後、9月に入り道南の松前町でまとまった出現が確認され、北端は9月24日現在で寿都町まで出現が確認されています。このまま行くと泊村地先においても例年より早い出現が予想され、引き続き最新情報に注意していく必要があるでしょう。
図2 全国の大型クラゲ出現情報
(出典:(社)漁業情報サービスセンター 大型クラゲ出現情報 より)
今回はエチゼンクラゲの最新状況ということをお話ししましたが、現地の最前線にいる私達がこういったことを実際に肌に感じ、多くの人達にその状況をお伝えし、少しでも困っている方々のお力になれればと思い、日々研鑽していきたいと考えております。何かお困りのことがあれば気軽にご相談ください。