景観シリーズ Part1
株式会社エコニクス
営業企画部 営業企画チーム 外崎 秀和
平成15年7月、国土交通省は豊かな緑や調和のとれた景観づくりに焦点を当てた「美しい国づくり政策大綱」を策定しました。そして、平成16年7月に都市、農村漁村等における良好な計画の整備を図ることを目的とした「景観緑三法」が成立されました。
この「景観緑三法」とは、「景観法」「景観法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」「都市緑地法等の一部を改正する法律」で、良好な景観の形成に関する基本理念及び国等の責務を定めるとともに、良好な景観の形成のための規制、景観整備機構による支援等について定めたものです。そこで今回は景観についてお話ししたいと思います。
景観(landscape)とは、景色や眺望、国語辞典では『見るだけの価値を持った、特色の有る景色』と解説されています。都市景観、農村景観、森林景観、山岳景観などさまざまに区分されています。ここでは単に眺めという意味ではなく、隣り合って関係しあう生態系の集まりとして捉えることにします。
景観というと視覚的イメージのみにとらわれることが多いですが、自然に対する人間の働きかけの中で形成される生態学的視点が必要とされ、景観生態学という分野が注目を浴びています。
景観生態学は、ドイツの地理学者カール・トロールによって提唱された概念で、文字通り景観と生態学の二つの側面をもっています。この概念は、地形、土壌、地質、水、気候、動植物などの生態系の因子による相互作用と、それに関わる人間の作用を含んでいます。
この景観生態学的観点からのアプローチが、自然環境と人間との共生を実現するための方策を考える手がかりとして、注目されてきています。こうした考え方のもとで、自治体の中には独自に都市の中に潤いのある空間を維持するために緑地・公園の保全を行ったり、伝統的な街並みの保存を目的とした条例やガイドライン、規制がつくられたりと、景観や自然環境の保全に効果をあげている所もあります。