ウニシリーズ Part3・人工構造物(港、防波堤)がウニに与える影響
株式会社エコニクス
顧問 川村 一廣
ウニの祖先が、地球上に出現したのは、古生代カンブリア紀(約5億年前)であり、現生種でも1千万年以上の歴史のある種がほとんどであると言われています。このウニの子孫たちは、現在の人間が作り出した海中の人工構造物にさぞびっくりしていることでしょう。
人工構造物がウニに与える影響は、プラスとマイナスの面が考えられます。
プラスの面の第1は、生活場所の拡大です。石狩湾新港の防波堤ではコンクリート面だけではなく、基盤に多量の割石なども使っており、総体ではウニの生活可能な面積が莫大であり、エゾバフンウニやキタムラサキウニが大量に沈着するようになりました。これらのウニは毎年、数10万の単位で種苗として出荷されています。第2は、海藻の着生による餌料条件の改善、更に、静穏域の拡大により、ウニの成長や生殖巣の発育が促進されます。
マイナスの面としては、海水の交換が悪くなり、高水温、低塩分、油膜などによる生理的障害などが起こりやすくなります。また、防波堤が新しく作られたり、延長されると周辺海域の海水の流動、砂泥の沈積に変化が起こり、これまで優良なウニ漁場であったところが、すっかり砂浜になって漁場が無くなってしまうこともあります。人工構造物の影響は、季節によって気象、海況などの変化と連動して変化しますし、年による年変動もあり、累積的変化をしますので、できるだけ長期間にわたる調査をして判断する必要があります。