環境問題シリーズ Part6
株式会社エコニクス
環境事業部 調査・計画チーム 大湊 航一
前回、ケニア環境副大臣のワンガリ・マータイさんが「もったいない」という言葉を国連で投げかけた話題を出しました。彼女の言葉を借りれば、日本語の「もったいない」は消費削減(リデュース)、再使用(リユース)、資源再利用(リサイクル)、修理(リペア)の4つの「R」をたった1つの言葉で表していることになります。このうち、リペアを除く3つのRは経済産業省が進める3R(スリーアール)政策のキーワードにもなっています。
モノを「消費しない」・「継続して使う」・「別の形に変えて使う」・「修理して使う」といった行為は、モノ本来の形を徹底的に見直すことによって初めて可能になります。逆に、大量生産・大量消費・大量廃棄といった動きは「モノの形を見ようとしない行為」つまり「勿体(もったい)の否定=もったいない」ということになります。ワンガリ・マータイさんが「もったいない」の語源まで調べたか否かは不明ですが、この言葉を国連で発言したことは、循環型社会の形成を進める日本にとって嬉しくもあり、耳の痛い話でもあると思います。
4つのRに代表されるように、無駄遣いを非難する言葉としての印象が強い「もったいない」ですが、この言葉には「ありがたい」とか「かたじけない」といった意味もあります。江戸時代以前に書かれた「源平盛衰記」や「太平記」においてこの言葉が使われているので、むしろコチラの方が「もったいない」の本 来の意味だったのでしょう。
幼少時に田舎に住んでいた私は、野菜の切れ端などが堆肥化され、再度、畑に撒かれる状況を見てきました。今の定義では「リサイクル」になりますが、当時、私が教えられたのは「死んだ野菜が新しい野菜となって帰ってくる」つまり生まれ変わり(リボーン)でした。我々日本人が「もったいない」の言葉と共に循環型社会の形成を進めるためには、江戸時代以前の言葉の意味を振り返り、モノに対して「ありがたい」という心をもつ自分に再度生まれ変わる必要があるのではないかと思います。